介護職員初任者研修から介護福祉士になるまでや受験資格について

介護のスペシャリストであることを証明する唯一の国家資格である「介護福祉士」を目指すのであれば、まずは介護職員初任者研修を修了することをおすすめします。資格をもたずホームヘルパーの仕事をしている人はもちろん、介護の経験や知識がない人でも十分に理解できる「介護の基本」を学ぶ研修です。 ここでは、介護福祉士の資格を取得する上で、介護職員初任者研修を受講することの重要性についてご紹介します。
介護福祉士の受験資格について
介護福祉士の国家試験は、ここ数年で大幅に改変されようとしています。医療的ケアをはじめとした新たな職域も拡大されており、合格へのハードルは年々高くなっているといっても過言ではないでしょう。
厚生労働省は、介護福祉士養成施設または福祉系高校を卒業する以外の方法で介護福祉士国家試験を受験しようとする場合は、介護現場での実務経験3年以上の要件に加え、450時間(6ヵ月間)以上の「介護福祉士実務者研修(通称:実務者研修)」の修了を義務づける方針を明らかにし、平成28年度の国家試験から適用することを決定しました。
これまでは、ホームヘルパーや看護助手として実務経験が3年以上あれば受験可能となっていましたが、新しい制度では受験資格として認められなくなりますので注意が必要です。
初心者が介護福祉士(国家資格)を取得するには
実務者研修は、実務経験や資格の有無にかかわらず誰でも受講することができます。ただし、受講内容がより実践的で専門用語を扱う場面が多いため、介護の仕事に就いて間もない人や、介護を学ぶのが初めてという初心者には修了が難しいと言えます。
先に介護職員初任者研修を修了して介護の基礎を学んでおけば、実務者研修の内容をより深く理解することができますし、実務者研修の450時間のうち130時間分の履修科目が免除され、実技スクーリング(面接授業)の時間も短縮することができます。
また、介護職員初任者研修は実務経験が豊富な無資格者が基礎を復習するのにも最適です。介護福祉士の資格を取得するためには、試験で合格点を獲得しなければなりませんので、しっかりと基礎を固めておくことをおすすめします。
介護職員初任者研修と実務者研修の違い
介護職員初任者研修では、介護の仕事を行う上で必要となるもっとも基本的な知識、技術を修得し、現場で介護福祉士などの指示に従って、的確に業務を遂行ができることを目的としたカリキュラムが組まれています。
これに対し実務者研修は、介護福祉士養成校で学ぶ内容(全1800時間)を基準とし、介護職員初任者研修と現場経験だけでは修得しきれない内容を中心としたカリキュラムが組まれています。
例えば実務者研修では、これまで医師や看護師にのみ許可されていた喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアについて学ぶことができます。ケアプランの策定や福祉制度についてもより詳しく学んでいきますので、修了後は介護者の状態を的確に把握し、他職種と連携しながら介護業務に携わることができるようになります。
また、実務者研修を修了すると訪問介護事業所における「サービス提供責任者」になることができます。サービス提供責任者は事業所における中心的な存在で、ケアマネージャーと対等な役割を担い、各種連絡調整の他、サービス担当者に対する助言などを行っていきます。
活躍の場を広げるためにも、介護の仕事をしながら着実にステップアップしていくことをおすすめします。まずは介護職員初任者研修を修了し、その後「介護福祉士」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。