介護福祉士実務者研修の講習内容とは?

皆さんは、介護福祉士実務者研修という制度をご存知でしょうか。初任者研修より高度な介護知識や技術を習得するために作られましたが、今後は介護福祉士になるためにはこの研修の修了が必須となります。介護福祉士実務者研修とは、どのような講習なのでしょうか。ここでは、学習内容やカリキュラムなどをご紹介いたします。
実務者研修で学ぶこと
実務者研修は、普段の実務経験では身に付けることができない知識や技術を学ぶことを目的に行われています。
例えば、介護課程や認知症、障害などについて詳しく学ぶことや、たん吸引や経管栄養などの一部医療行為を医療との連携の下で行うことができるようになります。
また、要介護者一人ひとりの状態に応じた、きめ細やかな介護サービスを提供でき、他部門との連携を円滑に行える知識や技術が介護福祉士実務者研修には含まれています。
さらに、平成28年度から介護福祉士国家試験を受けるためには、実務者研修の修了が必須となることが決まりました。超高齢化社会を迎えた日本において、高度な介護の知識と技術を身に付けることができる研修と言えるでしょう。
実務者研修のカリキュラム
実務者研修のカリキュラムは、今現在取得している資格の種類に応じて研修時間が異なります。何も資格を持っていない人の学習時間が最も長く、450時間の受講時間が必要です。介護職員初任者研修を取得していると320時間、ホームヘルパー1級で95時間の受講時間となっており、保有している資格によって受講時間が変わります。
なお、現在ひとつも資格を持っていない人が受講すると、以下のカリキュラムで学習することになります。
人間の尊厳と自立(5時間)
社会の理解Ⅰ、Ⅱ(35時間)
介護の基本Ⅰ、Ⅱ(30時間)
コミュニケーション技術(20時間)
生活支援技術Ⅰ、Ⅱ(50時間)
介護過程Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(90時間) ※Ⅲはスクーリング
発達と老化の理解Ⅰ、Ⅱ(30時間)
認知症の理解Ⅰ、Ⅱ(30時間)
障害の理解Ⅰ、Ⅱ(30時間)
こころとからだのしくみⅠ、Ⅱ(80時間)
医療的ケア(50時間) ※講義とは別に、演習の修了が必要。
通信講座では自宅学習に加え、スクーリングと呼ばれる面接授業も実施されています。面接授業では、介護技術を評価したり、通信教育で得た知識の定着度を確認したりします。
平成28年度からは、介護福祉士を目指す上で実務者研修の修了が必須となるので、今後も介護を専門に仕事をやっていくのであれば、専門知識を磨くだけでなく、実務者研修をひとつの目標としても良いでしょう。
実務者研修を終了するとサービス提供責任者にもなれる
実務者研修課程を修了すると、介護福祉士の受験資格が得られるだけでなく、サービス提供責任者にもなることができます。サービス提供責任者は、介護報酬減額の対象にならないため、介護の現場からはニーズも高く、今後ますます必要な人材となってくるでしょう。また、リーダー的役割を担う仕事を任される分、報酬面でも期待できる可能性があります。
このように今後の介護の仕事では、現場経験だけではなく、さまざまな知識や技術を持ったスタッフが求められます。これを機会に実務者研修を受講して、介護のエキスパートを目指してみてはいかがでしょうか。